Googleマイビジネスを運用していると、ユーザーから入るレビュー(評価点・星の数・口コミ)にはどうしても一喜一憂してしまうものですが、一般ユーザーからの口コミの数や点数が、どれほど問い合わせに影響しているのかを考えたことはありますでしょうか?
今回は、レビューの点数や口コミへの回答率とCV率(アクション率)に関する興味深い調査データをご紹介いたします。
本コラムは、ドイツのウェブマーケティング会社Uberallが、2018年と2019年の上半期に、64,000件のマイビジネスデータをもとにはじき出した統計データを基に、分析を加えた記事となります。
参考記事:Achieving 3.7 Google My Business rating stars delivers highest conversion boost, study finds(George Nguyen)
https://searchengineland.com/achieving-3-7-google-my-business-rating-stars-delivers-highest-conversion-boost-study-finds-323946
※注:Googleマイビジネスにおける「アクション」とは、ユーザーが公式ウェブサイトを閲覧したか、ルート検索を行ったか、電話をかけたかの3つの総称。
もとの記事では「コンバージョン」と記載されていますが、実際にはアクション率であるため、わかりやすく「アクション率」の表記にて統一いたしました。
評価(星の数)とアクション率の深い関係
ネット上でのお店の評価は来店率に直結するとても重要な指標であると考える事業者は増えてきているものの、その一方で、一部グルメサイトでのステマ問題が社会問題として顕在化してくるなど、お店側にとってもユーザー側にとっても、レビューは扱いの難しい悩ましい問題と考える事業者が多いのが実情なのではないでしょうか。
実際、ユーザーが入れるレビューは、どこまで信頼に足るものなのか疑わしく思えてしまう店舗オーナーの方も多いかもしれません。そのため、せっかくユーザーから入ったレビューを放置してしまうケースが極めて多いように見受けられます。
今回の統計データでは、レビューの評価点と口コミの数、そしてその返信数の多さが、アクション率(来店率)に直結しているというデータがはっきりと表れていました。つまり、多くのユーザーが、マイビジネスに入っているレビューの数、評価点、内容をもとに、来店を決めているということです。
では、どのくらいの評価点がつけば、ユーザーは来店を検討するようになるのでしょうか?
次のグラフをご覧ください。
【図1】レビュー評価点とアクション率の相関
「すべてのビジネス規模におけるコンバージョン率と成長率の平均」のグラフ
※コンバージョン率は、当記事におけるアクション率と同義です。
出典:Uberall.
青のグラフ:レビュー評価点ごとのアクション率を表しています。
赤のグラフ:レビュー評価点ごとのアクションの成長率を表しています。
アクション率が最も高くなったのは4.9の評価を得たときでした。
もちろん評価の高いお店に人が集まるのは当然ですが、このデータで興味深いのは、アクションの成長率が最大となる120%に至ったのは、3.5から3.7に改善されたときだったという点です。
しかも、中小企業・大企業・グローバル企業、いずれの規模のビジネスでも同様に星3.5~3.7の間でアクション率は増加しました。(図2)
レビュー評価点は高いに越したことはないのはもちろんですが、最低限維持したいレビュー点数は3.7というのが一つの目安となりそうです。
競合他社の星の数を過剰に気にするよりも、自社のビジネスを地道にアップデートし、顧客満足度を高めていくことが、最大の来店を勝ち取る秘訣であると言えそうです。
【図2】企業規模別:レビュー評価点とアクション成長率の相関
出典:Uberall.
企業規模(中小企業(SMB)・大企業(ENT)・グローバル企業(GLO))別のレビュー評価点とアクション成長率の相関(前年比)
グローバル企業が突出しているものの、いずれの規模のビジネスでも星3.5~3.7の間でアクション率は増加している。
口コミ・レビューへの返信とアクション率の相関
Googleマイビジネスではレビューに対し、店舗オーナーから返信することが可能ですが、こまめに返信をされているケースはあまり多くないようです。
しかしながら当社では、高評価の口コミ、厳しい意見の口コミ、どちらにも丁寧に返信することを推奨しています。
口コミへの返信の有用性を示す、次のようなデータがあります。
【図3】レビュー返信率とアクション率の相関
出典:Uberall.
中小企業(SMB)と大企業(ENT)の口コミへの平均返信率に対してマッピングされたアクション率の推移がわかるグラフ。
企業規模別に、口コミへの返信率(横軸)とアクション率(縦軸)の相関を示したのがこのグラフです。
企業規模で若干のばらつきはあるものの、口コミへの返信率が10%の場合、アクション率は約3%前後が優位となっていました。
しかし、返信率が32%まで増えた場合、アクション率は6%前後と、倍近くまで改善しました。
つまり、口コミへの返信率が10⇒30%と増えることで、実に80%以上高いアクション成長率を達成したというのです。
Googleマイビジネスにおいて口コミの数が重要であることはもちろん、ただ単に「高評価の口コミがたくさんあるかどうか」というだけでなく、企業がどのような姿勢でユーザーと向き合い、サービスを提供しているのかが見られているということの現れではないでしょうか。
たとえば飲食店の場合、グルメサイトやSNSの発展によって、美しい料理の写真がたくさん並んでいるお店の情報はもはや日常的な光景となりましたが、ユーザーが気になるのは「気持ちよく食事ができる環境が提供されているだろうか?」「お店側がサービスを提供するにあたり、どのような姿勢で取り組んでいるのだろうか?」というところでしょう。
口コミへの返信は、投稿者との連絡ツールになるだけでなく、口コミを閲覧するユーザーへの間接的なPRの場にもなります。
評価の高い口コミにはぜひ感謝のコメントとともに、次回の来店を後押しするようなメッセージを送ってください。
返信は必ず投稿者に通知されます。リピートへ繋げましょう。
また、厳しい意見の口コミやクレームにも感謝や謝罪、場合によっては行き違いを訂正するメッセージなどを真摯に返信することで、投稿者との和解を目指すだけでなく、その口コミを閲覧した他のユーザーの来店への心理的ハードルを下げる効果が期待できます。
業界別:アクション率が最高になるレビュー数
今度はレビューの数とアクション率の関係を業界別平均で見てみましょう。
【図4】業界別:レビュー数とアクション率最大値の相関
出典:Uberall.
青のグラフ=業界平均レビュー数
赤のグラフ=アクションの成長率(絶対値)
自動車:76件 88%
金融:34件 44%
飲食:181件 83%
小売:70件 42%
BtoB:44件 49%
旅行・観光・レジャー:104件 151%
業界ごとにばらつきはあるものの、アクション率の伸びを最大化するためには、ある程度のレビューを集めることが最低限必要となるというデータがでています。
とりわけ飲食やレジャー産業は、100件以上のレビューを集めたときにアクション率の伸びが最高となっていることから、こつこつと100件以上のレビューを集めることが来店率を増やす近道であるということになります。
口コミの数が業界平均より少ないと、レビュー評価の妥当性に疑問を抱かれる可能性があり、ひいてはアクション率が伸び悩んでしまいます。そうならないためにも、競合他社のレビュー数と自社の状況を比べることで、自社にとって最低限必要なレビュー数がどれぐらいなのかを抑えておく必要がありそうです。
まとめ:なぜレビューが重要なのか
本コラムでは、レビューとアクションの相関を示す、様々なデータをご紹介してきました。
この調査結果からわかるのは、お店が平均30件以上かつ星3.7を超えるレビュー評価を維持し、口コミに対してこまめに返信をすることが、とりもなおさず来店や問い合わせを最大化させるのに必要不可欠な要素であるということになります。
なかなかハードルは高いように思えますが、皆様いかがお感じになりましたでしょうか。
既存の口コミにこまめな返信することについては、今日からでも始められるはずです。まずはできることから始めていかれるとよいのではないでしょうか。
なお効果的な口コミ返信の仕方については、また別途記事としてまとめる予定です。
ぜひそちらもご覧ください。
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